ま行

前俊をあきらめない

読み方:まえしゅんをあきらめない

前俊をあきらめないの意味

前俊をあきらめないとは、サンフレッチェ広島ユース時代から期待されていた前田俊介の才能がいつか開花すると信じ、前俊を見捨てないサッカーファンが使う言い回しのこと。

前俊から使われるようになった言葉だが「育成年代から突出した才能を発揮した選手」や「天才と呼ばれる選手」など、期待されながらも思ったような結果が出ない選手に対して使われる。「平山を諦めない」「宇佐美を諦めない」など。

前田俊介は、高円宮杯(2004)でMVPを獲得し、Jユースカップ(2003)・日本クラブユース選手権(2004)・高円宮杯(2004)では得点王に輝くなど将来を嘱望されていた。2004年には、二種登録選手としてJ1に出場。磐田戦ではJリーグ初得点を決めている。2005年には、トップチームに昇格し、東京ヴェルディ戦でゴールを挙げるなど途中出場ながら結果を残す。

しかし2006年頃から足元でボールを受けて個人技で相手を抜きにかかるプレーを相手に研究され、次第にボールを奪われるシーンが目立っていく。

2007年には、サンフレッチェ広島で出番が激減する。出場機会を失った前田俊介は、大分トリニータへレンタル移籍する。その後、2009年に大分トリニータへ完全移籍している。

ミシャから前俊への苦言

前田俊介がサンフレッチェ広島時代に出場機会を失っていた頃、当時監督をしていたペトロビッチ(ミシャ)から送られた言葉がある。

「シュン、お前にはよく考えてもらいたい。お前は日本サッカー界の中でも特別な才能を持った選手だ。
それなのに今、試合に出ていないのは監督のせいなのか?
少し前までお前と同じ場所にいた、お前と同じくらいの才能を持った選手たちは、
もう違うステージでプレーしている。その姿を見て、どう思っているのか。
お前は、3人ドリブルで抜いて4人目でとられる。
その後、カウンターで失点してもドリブルで抜けたことで満足している。
それはプロではなくアマチュアの発想だ。単に楽しくやっているだけだ。

お前にクサビのボールを入れて、周りは一生懸命走る。
40m、50m、時には80mも走ってくれる仲間がいる。
それなのに、お前はつまらないミスでボールを失ってしまう。
仲間の頑張りや走りを無駄にしているんだ。
ミスをしてボールを失ってしまうことは仕方がない。
でも、お前はミスして失った後、走っていた仲間のために80m走ってカバーしたことはあるか?
そうすべきだと思わないか? サッカーはチームスポーツなんだ。

(中略)

シュン、今日の練習の最初、ボール回しをやっただろう。あれは確かに遊びだ。しかし、ただの遊びじゃないんだ。
シュン、お前はあのボール回しの中で、ずっと中で鬼をやっていたな。悔しくないのか? ボールが取れなくて。
俺がお前なら、悔しくてスライディングしてでもボールを取りにいくぞ。
シュン、お前は素晴らしい才能を持っている。でも、これから成功するには、お前のそのアタマの中を変えないといけない。
そのために残された時間は、シュン、そんなにたくさんあるわけじゃない。お前は、もう特別に若いわけじゃないんだ。
走って走って、玉際でアグレッシブに戦え。そうすれば、いい選手になれる。
90分、いや100分、180分、戦い抜くくらいにやろう。」

前田俊介は、ペトロビッチ監督が言うように素晴らしい才能を持っている。だからこそ前俊を諦められない人たちが存在している。

前俊の引退

九州サッカーリーグの沖縄SVでサッカー選手を続けていたが、2020年シーズンをもって現役引退を発表した。

J1でのキャリアハイは2005年の5ゴール。J2でのキャリアハイは2011年の8ゴール。

-ま行
-, , ,